煮えくり返ったハラワタの利用法

渡辺ヤスヒロ



 怒っている状態を「はらわたが煮えくり返っている」と表現する事がある。
ムカつくと言うか怒っている人の表現としてはどちらかと言えば顔が真っ赤だったり頭に湯気が出たりとどちらかと言えばハラワタのあるお腹ではなく頭が高温になっている。実際の所、怒っている時は頭が熱くなっていると言われているし、頭を冷やせと言われたりする。怒りに我を忘れている人に対してお腹を冷やせと言っている人はいない。(シンゴジラで「まずは君が落ち着け」とペットボトルの水を渡すシーンがあるが、これならお腹を冷やす事になると言えなくもない。でも渡された方が別に怒っている訳でもない気がしないでもない。)

しかし、腹に一物、怒りは静かに腹に溜め込んでいくとも考えられる。ぐつぐつと煮込んだ鍋物の様に煮えくり返っていくという状態は心象的には分からなくはない。確かに怒りで顔が真っ赤になる人や状態はあるが、表情に出さない怒りと言うのもあるからである。
そして煮えくり返ったハラワタは、堪忍袋の緒を切ったりする。堪忍袋の緒は煮えたハラワタによって焼き切れていたのだろう。それほどの高温になってしまっていると考えられる。

お腹の中が高温になっている状態はとても危険であると考えられる。この高温なエネルギーを何か使う事は出来ないだろうか。エネルギーの利用と言えば発電。火力原子力と言った高温を利用した発電方法は基本的に水を熱して蒸気でタービンを回している。

これだ。
煮えくり返ったハラワタのエネルギーを利用してお湯を沸かすのだ。とはいえ人ひとりでの発熱量など知れたものだろう。発電機を延々と使えるわけではないと考えると、やかんでお湯を沸かす程度かも知れない。調理には難しいとしてもお茶を出す事くらいなら出来そうだ。

そうだ!
ハラワタが煮えくり返ったら、へそでお茶を沸かせば良いのだ。

その人は怒ってるのか笑ってるのか分からなくなってしまった。
でも、許してくれるかも知れない。そこまで笑っているのなら。






論文リストへ