ハイブリッドな音車(おとしゃ)

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1.はじめに
 皆さんは、ハイブリッド車に轢かれそうになったことはないだろうか?
 私はこれまでに数回経験がある。

 ハイブリッド車とは、ガソリンと電気の両方の力をうまく配分して動く車である。
 そのため、エンジン音が殆どしない。
 つまり、歩行者はよほど接近しない限り、ハイブリッド車の存在に気が付かないのである。
 ブレーキをキーキー鳴らしながら、商店街を走り回るおばちゃん自転車の方が、よっぽど安全なのである。
 (とはいえ、最近は、自転車も車道を走るようになってきており、これはこれで危ないのであるが...)

2.対策
 エコロジーの観点から、今後ガソリン車はますます少なくなっていくだろう。
 メルセデスでさえ、低燃費、低排気量の高級車を市場に投入し始めているほどである。
 トヨタなんぞは、あと数年で全車種をハイブリッド化してしまいそうな勢いである。
 大排気量で、ガソリンをがんがん燃やしてぶっとばす車はもう過去の存在なのだ。

 しかし、環境への配慮をした結果、交通事故が増えてしまうようでは、本末転倒である。
 要は、車が走ってるぞー。危ないぞー。という自己主張をする機能が必要なのである。
 サイレンを鳴らしたり、頻繁にクラクションを鳴らすとと警察や消防署に怒られるだろうから、エンジン音だけ擬似的に鳴らす(実際には電気で動いている)ようにすれば良いだろう。
 昔ながらのエンジン音に愛着を持つユーザーは、しばらくは存在するだろうから、一石二鳥である。
 アクセルの踏み具合に応じ、それなりに大きな音が鳴るようにする。
 また、アクセルをゆるめるとエンジンブレーキの音がするようにしてもいいだろう。

3.弊害もしくは波及効果
 ハイブリッド車の自己主張機能が世の中に浸透するにつれ、違法改造車が横行することが予想される。
 例えば、暴走族がその典型的な例である。
 暴走族は、一般的に、スピードよりも騒音を撒き散らすことに価値を見出す傾向がある。
 要するに自己主張したい訳である。
 自動車や単車がハイブリッド化されることにより、彼らのモチベーションが低下してしまうことは必至である。従って、上述のような、擬似的なエンジン音よりも、更に個性的かつ目立つような音  に改造することが新しいステータスとなるだろう。例えばこんな感じである。

 例1:ジェット機の音にする
 例2:黒板をひっかいた時の音にする
 例3:象やライオンなどの声にする
 例4:ゴジラの声にする
 例5:ハードボイルドな声にする

 暴走族に限らず、俗に言う「大きなお友達」の中には、愛車にアニメキャラクターの絵を描いてみたりとか、ネコ耳をつけてみたりとか、所謂「痛車(いたしゃ)」と呼ばれる改造車に乗っている人も少なくない。
 パソコンの効果音や、ケータイの着メロ・着ボイスよろしく、色々な音を駆使した車も、今後ますます
 増えていくことだろう。例えばこんな感じである。

 例6:ガンダムとかの音にする
 例7:好きなアイドル声優とかの声にする
 例8:初音ミクの声にする
 例9:えろい声とかにする

4.今後の交通事情
 このようにして、これからの交通事情は、かつてないほどに激変していくことが予想される。
 近い将来における、とある交差点の様子を再現してみよう。

 <東西方向の車道の信号が赤になる。この車道を走っていた車が停車する。>
 車1:「なんじゃあこりゃあ!!」(声:松田優作)
 <横断歩道を歩行者が通行する。>
 車2:「べ、べつにとまりたくてとまったんじゃないんだからね。」(声:釘宮理恵)
 車3:「ゴォオオオオオオオ」(F4戦闘機の音)

 <南北方向の車道を数台の車が走り抜ける。>
 車4:「ぱお〜ん」(象の声)
 車5:「○※▲≠∀」(Zガンダムの音)
 車6:「みっくみく〜」(声:初音ミク)

 <南北方向の車道にて、右折車が交差点中央でウインカーを出して停車する。>
 車7:「うっふ〜ん」(声:長澤つぐみ)
 <直進車が道をゆずる。クラクションで合図をする。>
 車8:「おっす。おら悟空」(声:野沢雅子)
 車7:「いや〜ん」(声:かすみ果穂)

 <信号が変わり、東西方向の車道の車が走り始める)
 車1:「ちょちょっ待〜てよ」(声:木村拓哉)
 車2:「か、勘違いしないでよね。」(声:堀江由衣)
 車3:「グォオオオオオオオ」(F104戦闘機の音)




なかなか楽しい世界になりそうである。





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