睡眠はなぜ必要か?

シンキロウ@暗黒通信団



 睡眠というのは不思議である。それは自我を不連続にさせる。眠っている間は、どこにも「自分」がない。私は毎晩、眠っている間に宇宙人に連れ去られているのかもしれない。そして、記憶を操作され、あたかも昨日までの自分と今日の自分が連続的あるかのような錯覚を植え付けられいているかもしれないのだ。しかしながら、睡眠の妙はもっと、現実的である。例えば、原生動物は眠らない。進化論は爬虫類、哺乳類と進化するにつれ、生物が「睡眠」というメカニズムを得てきたと主張する。このことは生物学では周知の事実だが、改めてよく考えてみるがいい。眠っている間は 全く無防備になる。無防備の時間が増えるということが、果たして自然淘汰にとって都合の良いことだろうか?私にはとてもそうは思えない。問題はまだある。人間は眠ることなしに生きられないのだ。無理やりに断眠を続けていると、遂には死んでしまうことが報告されている。もし本当に進化の過程で睡眠を得たのなら、眠っても眠らなくてもいいという、選択の自由があって当然ではないか?断眠をしたら、死に至るのではなく、眠らなくてもよくなるような過去の遺伝結果が発現してくるべきだろう。どうして強制的に眠らないといけなくなっているのかが、「眠り」を「進化」だとすると説明つかない。それは進化ではなく、退化ではないか?
 ここで、大胆かつ終局的な仮定を与える。生命存在の奥底には、何かしらの超越者が存在し、それは私の体験とその記憶を欲しているのだ。我々人類、および地上生物の存在する目的、あるいは進化をしてきた目的が、恣意の含まれる超越者の実験のためだったとすれば、すべては合理的に解決つくのだ。すなわち、その超越者は、人類でいうところの科学者のような存在で、地球と云う名の複雑系において、その初期条件と振る舞いを研究しているのだとしよう。実験結果を超越者の意識次元まで引き上げるための検出装置として、生物は作られた。生命体の各個体が得る経験とは、まさに超越者が欲しているものである。だからこそ聖書において神は「人類と契約」をしたのである。地上のすべての存在を生かす代わりに、神は意識を己の方向に向けつづけることを強要した。すなわち、検出装置のデータ送信指向性を調整しようとしたに他ならない。睡眠とはちょうど、数値シミュレーションをしている科学者が、プログラムと止めてデータをハードディスクにコピーするようなものである。その停止状態こそが、睡眠に他ならないのである。そして生物の進化とは、検出器の改良に他ならない。
原生動物など、微小な生物は、小型で生死のサイクルも短かったし、その間に蓄積された経験情報は、死と共に超越者にフィードバックされればよかった。しかし、系が複雑になり、膨大な経験を集積するようになった知的生命体では、その情報を順次睡眠という形で、超越者のストレージにコピーしなくてはいけないのだ。睡眠とはこの行為に他ならない。すなわち、睡眠は生きている目的そのものにとって重大な意味を持ち、睡眠を拒否した検出器は故障品と見なされ、自動的に死滅するようプログラムされて当然なのである。これは他にもまた、1日あたりの受容情報量が大きな赤ん坊の方が、たくさん眠るということも説明する。
 この超越者は以前より人間が死ぬときに見るという神とかブラフマンとか、大いなる光の玉とか、様々に形容されてきたが、どうして死ぬときにだけ見るのかは一言も語られなかった。それはただ単に、生きている途中で神を見てしまったら、その後の経験に影響を与えるからに他ならない。多くの心理学実験においても被検体は自分が被検体であることを知ってはならない。時たま非常に頭脳明晰な個体が、神の預言を聞いたりするが、そういう個体は、不思議なことに、精神的なトラブルに遭いやすいようにできている。現実、精神病になる人間は、IQの高い人間が圧倒的に多いのである。
 以上に見てきたように、睡眠という当たり前のものは、進化論と組み合わせて考えると極めて矛盾に満ちた、奥深いものである。ではいかにしてデータは送信されるか。物事を鋭く見る人は、睡眠中にある脳波こそが超越者との交信を示すものだということに気づくだろう。脳波の解析こそが、人間の記憶格納手段とその通信手段を明らかにすると、私は信じる。まずは脳波をフーリエ展開し、その成分波長を他の自然的波長分布と比較することである。これは次回の報告にまわしたい。
 睡眠についての研究を深めることは、神とか超越的な存在への研究を深めることに同義であろう。今後のこの方面の進展に、超越者との絡みといった視点から、期待したい。





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