渡辺ヤスヒロ
チビクロサンボのトラですが、あれはいったいどういう仕組み、もしくは化学反応によって起こったのでしょうか?
この夏、この問題が解決すべき議題の一つとして机上理論学会に投じられました。トラがバターになったことは余りにも有名であり、バターになる原因がグルグル木の周りを回ったからだとされています。もちろんトラが回った位でバターになるとは子供ですら信じないでしょう。では一体何だったのでしょうか。
先ずそれぞれが思いつくことを机上理論学会内で話合ってみました。
1. 摩擦でトラが溶けてバター化した。
2. 遠心分離によりトラのバターの部分が残った。
3. トラに空気中のバター成分を固体化する仕組みがあり、複数高速回転で加速化した。
4. トラが全てメスであり、回転中に乳を振った効果でバター化し、それが漏れていた。
5. 冷やしたトラをケースに入れ、手で10分位振った。
6. マレーの虎はもともと 主成分がバター
7. マレーではトラ肉のことをバターと呼ぶと言う様なオチは却下。
8. この物語が主観的自叙伝であり結末は極限状態に置かれたサンボが、極度の緊張と回転体による点滅視覚認知により催眠状態に陥り虎バターでホットケーキと食べる妄想に耽りながら虎に食われていくのだが、本人は知覚出来なかった。
9. 宗教的奇跡であり再現性はない。実はチビ黒サンボはマレーのカルト宗教の創始者。
1が一般的に言われていることですが、最も溶け易いと思われる駆動部の足が先に溶けていない点が気になります。足が溶ければ回転速度も落ちると考えられますから。当然、回転速度が一定を越えたために一気にバター化したのではないかともかんがえられますが、その場合には摩擦が原因とは考えにくいでしょう。2の場合、回転により血肉が周りに飛び散っている気がします。子ども向けの絵本ですのでその描写を省いてあると考えても、脂肪分が遠心分離機の様な容器に入っているわけでもないのに飛び散らないと言うのは考え難いことです。骨と筋だけ残ったならこの案でも良かったのですが。3であるとすると、かなり特殊能力を持った動物であると言えます。バターが回転によって次々に出来上がることが考えられますが、トラが消えないと言う点から却下せざるを得ません。4も同じようにトラが残ってしまいます。高速回転によりふらふらになったトラが去った後にバターが残った考えることも出来ます。この場合に残ったトラミルクのバターが、後に出るホットケーキの量に比べて少ない気がします。5は『冷やしたケースに牛乳を入れ、手で10分くらい振る』と言う自家製バターの作り方から来ています。もちろん振っているわけではないので却下されますが。トラの成分が全てバターになることもどうも考えにくいとすると、6も意味は無いので外します。7も同様。8だとすると物語の記述者がいなくなると言うより夢落ちは禁止。すると9となりますが、サンボ教の無い現代では確かめる術はありません。
以上、一つ一つ検証してみてやはりトラはバターに成り得ないのではないかと言う結論に至ることになってしまいました。
食べられるサンボが最後に見た幸せな夢であったと言う夢オチは禁止
ここでふと思い付いたことがありました。
第二次大戦中に『マレーの虎』と言えば、山下奉文(やましたともゆき)大将のことが真っ先に思い浮かぶと思います。この野戦の天才山下大将と言えばハリマオのモデルになった人であり、もう一つ有名なのが山下財宝ですね。マレー陥落の折りに山下大将はその日本軍の一千億ドルを越えると言う莫大な資産を宝物に換え、いずこへか隠したと言う夢のある話です。今ではそんな財宝など無かったと言うのが定説ですが、フィリピン政府が隠しているだの、何かが見つかっただのと言うウワサは絶えず、今でも現地では偽の宝の地図が数限りなく出回っているとか。
そしてちびくろさんぼ最後のページには意味不明な数字が出てきます。
くろまんぼは ぱんけーきを
27まい たべました。くろじゃんぼ
は 55まい たべました。でも
ちびくろさんぼはね 169まい
たべたの。だって とっても
おなかが すいてたんですもの。
この3つの数字は、突然出てきて何の脈絡もありません。物語的意味もありません。つまり意味が無いからこそ、重大な意味があるに違いないのです。つまり、この数字が山下財宝のありかの座標を示すだろうということです。
十中八九間違いないと思いますが、我々にはそれを確認する手段も資金も残念ながらありません。どなたか確認してみてはいかがでしょうか。
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