人類ビックリバン

渡辺ヤスヒロ



 人類発祥の地はどこなのか?
その疑問を解消すべく様々な調査、研究が今まで行われて来た。本論文では従来に無い視点でこの問題の結論を導き出すことに成功したのでここに報告する次第である。

 無限に広がる大宇宙。とは、あるSFドラマの冒頭で語られるナレーションとして耳にしたことのある人も多いだろう。しかし宇宙と言うものが無限に広がっている訳では無い事が現在支持されている宇宙論であることが示している。ビッグバン宇宙論である。宇宙はある時期の爆発によって生まれどんどん広がっているわけだ。この理論と調査結果から、ビッグバンがいつ頃なのか、どの辺りなのか、宇宙の大きさはどの程度なのかが割り出すことができるようである。
 爆発が物理現象である以上、どの爆発も大体同じ動きをすると考えられる。爆発後、物質は周りに散らばっていくわけだがその進み方は、爆発の中心付近はゆっくりと、中心から離れる程早く、散らばっていく。宇宙も同じように広がっているので、天体間の間隔の広がり方で宇宙のどの辺かが分かったりするわけだ。

 日本人はせっかちだ。日本に来た外国人からそう言われ続けて久しい。これは印象だけではなく、証拠もいくつかあるようだ。 世界各地の都市で人の歩く速度を計測した結果がある。ここではその詳細に触れないが、ロンドンやパリよりニューヨークの方が早く歩き、それより東京の結果の方が更に早いとの事である。
いやあ、日本人は体格が小さいにも関わらず世界で最も早く歩き回っているんですなあ。本当にせっかちですこと。ははは。
と、笑い飛ばすだけのネタではない。ここには人類発祥に関わる重大な秘密が隠されている事が判明したのだ。
 同じ人類として歩行速度が異なる理由は何なのか?こうして移動速度が場所によって異なる現象は、先程述べた爆発の物理現象に共通点を持っていたことに注目したい。
 つまり、これは人類が発祥(ビッグバン)した場所から遠く離れるほど膨張速度が速くなる。人類の場合にはその移動速度が速くなっていると見る事ができるのではないだろうか。すると各都市における歩行平均速度と言う都市設計社会学的統計資料が人類発祥の地確定のための証拠となるわけだ。しかし残念な事に現在のところこの資料はかなりいい加減なものしかない。現時点での資料から計算すると大体現在のアフリカ大陸の北部あたり又はその西の大西洋辺りまでになり、他の学説による人類起源地と一致する。陸地を無視すれば大西洋の真ん中辺りになってしまうのだが、これによって失われた大陸が人類の起源だったと言えなくもない。もちろん可能性を否定するわけではないが、可能性が低いとしてここでは考えないことにする。

 人類発祥の地がどこかと言う問題に結論が出た後に考えるのは、今後の人類がどこへ向かいどうなっていくかである。当然人類も他の生物同様により高次な進化を求めている。
 先の資料で最も早く歩いてる東京の人々は人類文化の端っこを更に加速しながら進んでいるわけである。人類の最先端民族こそ何を隠そう日本人であり、人類発祥の地から最も離れた位置に存在していたと言う結論には驚く他ない。
 我々日本人こそが、人類の文化を押し進めるべき使命を帯びた最先端の人種であったのだ。せっかちな国と言われゆとりの教育なんぞやっている場合ではない。堂々とオリジナルな文化を更にせっかちに大急ぎで押し進めるべきなのだ。

 人類発祥の地はアフリカ北部から大西洋という結論が出たと先程述べたが、これは計算上誤差がかなり含まれていると考えられる。もしかしたらもっと北の方なのでは無いか?と言う意見があるのだ。すなわち、大西洋の島国でもっと北と言えばイギリスである。イギリスを人類発祥の地とする理由の一つにそこに残る建造物の名前が発祥の地を示すと言うのだ。人類『ビッグバン』と言う名の時計塔があったのだ。
 それを言うならビッグベンでんがな。

※地球は丸いため、人類のビッグバンによる広がりは当然逆方向にも伸びると思われる。日本が人類発祥の地であるアフリカからヨーロッパ、アメリカ、太平洋を渡って来たと考えるとその逆方向から来た人種と遭遇することになる。同じ位置で顔を合わせても加速度方向が逆方向へ進んでいるためか、文化的な衝突もあるようだ。余りに相対速度に差が出来てしまい、その速度差が光速に近づくと赤方変異を起こす。そのためか片方の人種はもう一方を『アカ』と呼ぶことがあるようだ。

※西方向への広がりと東方向への広がりがぶつかる辺りでは、ゆがみが発生するようである。空間的な歪み同様、そこはブラックホール化するらしく、ある地点へ迷い込んだり連れ込まれたりした人が二度と出られなくなることがある。そこへ何度も行きながらその度に無事生還することが出来る人物もいる。彼女の名は引田天向言う。脱出のプロフェッショナルだからこそできる離れ業である。



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