規則正しい食事とは

穂滝薫理




 健康的な生活のためには規則正しい食事が一番。1日3食、毎日決まった時間に食べよう。とか言われているが、果たして毎日同じ時間に食事をすることが“規則正しい食事”なんだろうか?
 例えば、平均的サラリーマンの食事というものを考えてみる。
朝食 7:30
昼食 12:00
夕食 19:00
 てな感じだろうか。まぁ異論はあるかもしれないが、だいたいこんなもんだろう。各食事の間隔をみてみると、
朝食−昼食間 4時間半
昼食−夕食間 7時間
夕食−朝食間 12時間半
 もう何が言いたいかはわかってもらえたと思うが、ぜーんぜん規則的ではない。ちなみに、お昼くらいに起きて深夜3時とか4時とかに寝て、週1回くらい徹夜もしちゃうという全然健康的でない生活をしている私の食事。
朝食 12:00
      ] 2時間
昼食 14:00
      ] 7時間
夕食 21:00
      ] 15時間
 もともと不規則な生活だから、毎日この通りに食べているワケではないが、しかし今さらながらすごい時間に食ってるなぁ。それはさておき、仮に毎日この時間に食べていれば、“1日3食、毎日決まった時間に”という条件は満たすことになってしまう。これが“規則正しい食事”なのだろうか?
 平均的おじいちゃんおばあちゃんの食事。
朝食 6:00
      ] 6時間
昼食 12:00
      ] 6時間
夕食 18:00
      ] 12時間
 おお、これは結構規則的と言えるかもしれない。しかし、やはりネックとなるのは夕食から翌朝食までの時間の長さだ。
 受験生の食事。
朝食 7:00
      ] 6時間
昼食 13:00(4時限目が終わるのはそれくらい)
      ] 7時間
夕食 20:00(塾とか行くので夕食は遅め)
      ] 5時間
夜食 25:00
      ] 6時間
 意外にもこれが一番規則的な食事と言えるのではないだろうか。しかし、4回食べているという点で、健康的食事条件からは除外される。
 理想的には、1日3食とすれば、24時間を3で割って8時間ごとにとるのが一番規則正しい食事だ。そうして割り出された食事は、
朝食 7:00 (これより早く起きるのはつらいでしょ?)
      ] 8時間
昼食 15:00
      ] 8時間
夕食 23:00
      ] 8時間
ということになる。みなさんも、健康のために昼の3時や寝る直前の夜11時に食事をするようにこころがけてもらいたい。

 と、ここで終わっても誰も納得しないだろう。理由のひとつは、「夜寝ている間は、カロリー消費量が起きている時とは違うのだから、昼間と同じ時間間隔で食事をとるのはおかしい」ということであり、いまひとつは「朝食はそんなにたくさん食べないからすぐに腹が減るし、夕食はたくさん食べるから翌朝まで食べなくても大丈夫なのだ」ということであろう。実はどちらも言わんとしていることは、「カロリー消費量に応じたカロリー摂取を適当な時間に(1日3回)行なえばいいのでは?」である。冒頭の“規則正しい”云々は、結局そのことを実践するための方法をわかりやすく示しているのではないだろうか。ちょっと言葉を足さなければならない。
 1日3食、毎日決まった時間に(カロリー消費量に応じた)決まった量の食事を食べよう。
である。厳密には“規則正しい”という意味からは、はずれるがそのセンで考えてみたい。重要なのは、規則正しいことではなくて、健康であることだからだ。
厚生省の資料によると、日本人の成人が1日に必要とされるカロリーは男性で2400カロリー、女性が2000カロリーである。成長の止まった成人では、それがほぼ消費カロリーであると考えられるから、これを各食事に割りふればよいことになる。具体的には、各自の食事間隔に応じたカロリーをその前の食事でとれるよう、食事内容をコントロールする。就寝中のカロリー消費量についてはデータも根拠もないが、仮に起きている時の5分の1としてみる。そんなワケで、最初にあげた平均的サラリーマン(男性)は

朝食 7:30 に 587カロリーの食事
      ] 4時間半
昼食 12:00 に 913カロリーの食事
      ] 7時間
夕食 19:00 に 900カロリーの食事
      ] 12時間半 ただし7時間睡眠

という食事をすれば良いことになる。意外にも、そんなに夕食ばっかりもりもり食べてはいけないことがわかった。もちろん、就寝中のカロリー消費量をいくらにするかでこの値は違ってくるが、ひとつの目安にはなるだろう。
 しかし、どうもしっくりこない。それは、同じ起きている時間なのに、食事間隔がこうも違っていていいのか? ということである。カロリー消費量に応じているからって、4時間半の間隔と7時間の間隔で食べられた食事の胃や内臓に与える負担が等しいとは考えられないからである。そして、そんな状態で健康な生活が保てるのであろうか。“規則正しい”という冒頭の言葉はそのことも示唆しているのではないか。やはり、健康のためには規則正しさが重要なのではないか。もう一度おじいちゃんおばあちゃんの食事間隔を元にサラリーマン(男性)の食事を考えてみる。

朝食 6:00に 783カロリーの食事
      ] 6時間
昼食 12:00に 783カロリーの食事
      ] 6時間
夕食 18:00に 834カロリーの食事
      ] 12時間 ただし7時間睡眠

これだ。ほぼ理想の食事間隔と、摂取カロリーとなった。胃や内臓に与える負担も実に規則的である。というわけで、みなさんも健康のために6:00に起きて昼や夜に食べるのとほとんど同量の食事をするようこころがけてもらいたい。願わくば、寝ている時は、起きている時の5分の1のカロリーを消費するように。


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