穂滝薫理
冬、こたつで眠ることの気持ちよさは誰でも経験したことがあるだろう。一度経験してしまうと、もうふとんでは寒くて眠れないくらいだ。そして、その気持ちよさの代償としてカゼをひくのである。
なぜこたつで眠るとカゼをひくのか。一般的にはこたつは熱すぎるからだと言われている。人は、熱すぎると眠りながらでも無意識のうちにこたつから出てしまう。そして明け方の寒さでカゼをひくのだ。無意識のうちにこたつの外に出ることがあるのなら、逆にまた入ることがあってもよさそうなものだが、なぜかそういうことはまれである。人間の不思議なところだ。
ちなみに私がふとんに入って、二時間後のふとんの中の温度を計ったら、19℃であった。意外に低い。これは恐らく部屋の気温とも関係あるのだろう。いくらふとんが温度を逃がしにくいとはいえ、常に部屋の気温によって冷やされ続けているわけだから、あまり高くはならないのだと考えられる。これでは、ふとんの中にいるうちはあったかくても(寝るのに必要十分なあったかさ)、ふとんの外は寒いのだから、そこから出ようとは思わない。
こたつの中は28℃あった。むろんこたつは自ら発熱するため、部屋の気温によって冷やされるということがない。28℃ともなると、ずっとそこにいると汗をかくほどの熱さだ。もちろん、部屋の気温は変わらないが、こんなに熱いと、こたつの外に出たときに涼しいと感じてしまう。だから、ふとんと違って外にでてしまうのだ。“汗をかく”こともカゼをひくことと関係ありそうだ。汗は、乾燥するときに、体温を奪うからである。
とすると、こたつに必要な機能が見えてくる。そう、エアコンのようにきめの細かな温度調節機能である。人が起きているときには30℃近くあっても構わないが、眠るときには、20℃程度に抑えるように調節できるようになっているべきなのだ。“おやすみモード”のついたこたつを、私は欲しい。
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