日本はなぜ戦後あんなにやすやすとアメリカを受け入れたのか

穂滝薫理




 鬼畜米英という言葉がある(あった)。
 第二次大戦中、日本ではアメリカやイギリスを鬼畜と呼び、憎みに憎んでいたそうだ。ところが日本が敗戦し、マッカーサーが厚木に降り立ったとき、彼を待ってていたのは熱烈な歓迎だった。記録映像を見ると、アメリカ国旗をふっているいる人たちでいっぱいだ。これはいったいどういうことなのだろう。日本人はアメリカを憎んでいたのではなかったのか?憎しみがそんなに簡単に消えるものなのだろうか? マッカーサーも相当気味悪かったに違いない。
 しかし、戦争を知らない子供たちの私にも、同じ日本人として彼らの気持ちはよくわかる。
 このことは高校野球を見れば一目瞭然なのだ。普通、高校野球の観戦者である我々は、自分の母校もしくは出身県の高校を応援する。相手の高校を徹底的にぶちのめすのを見て歓声をあげるだろう。しかし、その高校が負けたあと、どこを応援するか? そう、自分が応援していた高校を負かした高校である。そのままの勢いで優勝してほしいと願う。決して母校を負かしたからといってうらんだりはしないものである。多分、その相手校が優勝でもすれば、「優勝した高校に負けたんだからしかたがない」という気持ちを持つことができるからだろう。「優勝した高校をあそこまで手こずらせたのだからうちの高校もたいしたもんだ」とさえ思ってしまうかもしれないのだ。
 結論。アメリカにはぜひ優勝してもらいたいね。イラクなんかに負けるなよ。だって、うちはあんなにてこずらせたんだから。


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